献本で頂いて読んでいた『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール / ビル・パーキンス』 を読み終わりました。
今回ご厚意で本をいただいたものの、感想については投稿するもしないも、ポジティブorネガティブな意見でも特に制限はないことを事前に聞いているので、正直な感想をここに書きたいと思います。
兎に角帯にある「ゼロで死ね。」という、邦訳された言葉のインパクトがすごい。邦訳のセンスはともかくとして、言葉選びと青と黄色のカバーも一度見たら忘れないような強烈な印象を与えるこの本。中身はもっと衝撃的でした。
冒頭、アリとキリギリスの話から本は始まります。
キリギリスの生き方は刹那的・享楽的で人生のモデルにはなりえない一方、毎日あくせく働くアリは一体、いつ遊ぶことができるんだろうか?という問いかけで始まるこの本は、ただ生きるのではなく、十分に生きるためにどうすればよいか、人生を豊かにする方法について語られます。
私たちは若い頃から、収入のいくらかの割合は貯蓄をし将来困らないように、熱心に働くことが大切であるという価値観に、無意識のうちに縛られて生きています。「節約」と「倹約」を心がけ、今の楽しみを先送りにして、将来のために残そう、備えようとしている人がほとんどじゃないでしょうか。(個人的に日本人は特にその傾向が強いと私は思う)
でも実際そうして貯めたお金で、老後、例えば世界一周旅行に行こうとして、実際に実行に移せる人が何人いるでしょう?
やりたいと思うこと、経験できることには実は、お金だけでなく持っている健康度・時間によって大きく制約があるということに、私たちはなかなか気づきません。そして残酷なことに、気力・体力の低下、健康問題で、年を取るにつれて私たちができることは減っていきます。
ライフプランを立てることは大切だけれど、タイムバケットという考えで、何歳の時に何をやりたいかを可視化することで、やりたいことを先延ばしにしすぎることを防ぐことが大切だと著者は語ります。
お金は経験に使うべきだ、なぜなら年を取って満足に動けなくなった時に私たちを楽しませてくれるのは『あの頃こんなことをして楽しかった』という思い出だからです。
だから若いときに多少の貯蓄をするために、むやみにやりたいこと・若いからこそできることを我慢するのはやめた方がよいということ。闇雲に将来の不安に駆られて”自動運転モード”で貯蓄するのではなく、自分の余命を予測し、リスク許容度を考慮して、何年分の生活資金がどれくらい必要かを計算して生きるのは、大きな大きな違いがあるということを我々は知っておくべきだ、というのが著者の考えです。
この本は、今まで私が読んできたお金に関する本の、ありとあらゆる概念をガツンと破壊していきました。収入の数割を確実に”自動的”に”天引き”で貯めることの大切さを説いてきた、あれらの本は何だったんだろう。私が求めるのは老後の安心もそうだけれど、やりたいことをやれる人生ではなかったか。知らず知らずのうちに節約・倹約そしてやりたいことの後回しがいいことだと思い込んでいたことに、この本を読んで気が付きました。
もちろん著者はキリギリス的な生き方をすべきと説いているのではない。将来の漠然とした金銭的不安に対して、どのように備えるかその具体的な解決策についても本書の中で提示しています。
正直、もっと若いときにこの本を読みたかった!
今まで一体どれだけの時間を、将来のお金を貯めるために費やしてきたんだろう。その時間で、その時にしかやれないことをやれたはずなのに。
是非、20代のうちにこの本を手に取ってほしいと思う。もちろんそれ以上の年齢層の人にも、人生を豊かにするうえで読んでほしい。とにかく早く読んだ方が得をする、人生の価値観を変える一冊でした。
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