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もう別れてもいいですか 桐谷 美雨 感想

和書レビュー
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もう別れてもいいですか 桐谷美雨

桐谷 美雨という作家さんは、世の中で今ホットな話題を、小説にするのが上手いなあと思う。

断捨離がテーマの「あなたの人生、片付けます」、定年男性の家族再生をテーマにした「定年オヤジ改造計画」、老後の金銭不安をテーマにした「老後の資金がありません」等々、どれも最近よく聞くなという話題をうまく1本の小説にしていて、分かる分かるとしきりに頷きながら最後まであっという間に読まされてしまう。

テーマによっては多少無理や詰め込みすぎかな?というものはあるけれど、出てくる登場人物がどこにでもいるタイプの平凡な家庭人で、読者の漠然とした不安や感情を、文字にして否応なしに突き付けてくるから、首がもげるほど頷いてしまう。

自分の中でうまく言葉にできないモヤモヤを、小説のなかできちんと言葉にしてくれるから、読んでいるうちに自分の思考の整理ができてしまう。ノンフィクションなのに、まるで自己啓発本のように読者に思考の整理をさせてしまうから面白い。

今回の「もう別れてもいいですか」は、タイトル通り熟年離婚がテーマ。子供も巣立ち、定年間際の夫と二人暮らす50代パート主婦の話。とにかくこの夫が、絵にかいたようなモラハラ夫。物語は妻目線で進むので夫がどんなことを考えてそういう行動をしているのかは分かりませんが、そこがまたリアリティを感じさせます。

離婚はしたいけれど、結局、先立つものへの不安から離婚に踏み出せない、でもこのまま人生終りたくない、そうやって踏み出せずぐるぐるしている姿に共感する中年女性は多いと思う。

桐谷さんの本はいくつか読んでいて、新刊でこのタイトルを見たときに、また文庫本になるタイミングで読もうかなと思っていたのだけれど、Amazonで試し読みをして続きがどうしても気になってしまい、Kindle版をポチした。まあタイトルが刺激的(!)なので、こういう本は紙本ではなくKindle版の方がそっと読みやすい(笑)

今回も期待を裏切らない面白さだった。単行本価格だったけれど満足。ページ数の割に本当に面白くてあっという間に読み終わるので、普段読書をしないという人にもおすすめ。40代以上の女性にはきっと「共感しかない」、そんな一冊です。

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