最近、職場に新しく50代の派遣社員の方が来ました。教育係として接しているうちに雑談をするようになってお互いの話をしたところ、彼女は少し前まで実はフルタイムで働いていたそうで。そこを辞めたのは、「50歳になったら好きなことをする」と以前から決めていたからだとのことでした。
大好きな猫を飼い、大好きな温泉でアルバイトをする。そして猫を養うのに足るお金を稼ぐため、派遣会社に登録をしたところ、縁があってうちに数か月来ることになったそう。その話を聞きながら、私は雷に打たれたような気持ちになりました。
長く同じ職場で働いていると、見えなくなるものが多くなります。会社の中の文化が沁みついて、外から見たときにどう見えるのか、会社の外の世界がどうなっているのか、時には想像することすら難しくなってきます。
新卒で就職して、サラリーマン(サラリーウーマン?)生活も二十年を超えた私を最近悩ませるのが、「このままでいいのか」という問いでした。
40歳を過ぎると、定年という一区切りが見えてきます。いわばキャリアの折り返し地点です。20代~30代のころには意識もしなかった「終わり」が視界に入ってくることでの焦りを感じると同時に、そして今のまま働いていたら大体収入はこれくらいで推移するんだろうなとか、キャリアはここで打ち止めだな、ということが視えるようになってきます。とはいえ、ここから何か巻き返したり、全然違うことをし始めるのにはリスクが気になってしまう。
思い描いていた理想の人生と、目の前に広がる現実との間、真っ暗な海に浮かぶブイのように、ゆらゆら揺れている……
どうやらこれは私だけがはまっている問題ではなく、世の中のアラフォーが多く抱くモヤモヤだとか。以前、タイトルに惹かれて手に取った、ワーママはる、こと尾石 晴さんの書籍”「40歳の壁」をするっと超える人生戦略”には、こんなことが書いてありました。
そしてこの危機の最中、キャリアの方向性を見失って、突然使いもしない資格の勉強をしだしたりする人も多いそうです。7年前にスキル不足を感じて、突然英語を勉強しだした私も、その頃からミッドライフクライシスに陥っていたのかもしれません。
「40歳の壁」本は、我々が直面している「壁」の正体や、その乗り越え方などを具体的に分解し、提示してくれているとても良い一冊でした。数か月前に1度読了したのですが、冒頭の派遣社員さんとのやり取りの後、そういえば、私もいつか猫を飼いたいと思っていたんだよ…なんてことを思いながら今、再読しています。
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