1960年代カリフォルニアを舞台にした、若き女性化学者のお話、というあらすじを読んで、この本に当初はあまり惹かれるものを感じなかったのですが、洋書読書垢の皆さんの間で「面白い!」と評判だったので手に取った一冊。正直、あらすじだけでは、同じように感じる人が結構多いのではないかと思いますが、読んでみて一変。これが本当に本当に面白い…!声を上げて何度も笑います。
<あらすじ>
主人公エリザベス・ゾットは若い女性化学者。まだ女性に対する不平等や差別が色濃く残る1960年代に、女性が化学者として独り立ちしていくのは非常に難しく、学位をとることも、研究所で働くことも、今とは比べ物にならないくらい、ままならないことだった。そんな中、彼女を化学者として平等に扱うカルビン・エヴァンスと出合い、恋に落ちる。ノーベル賞にもノミネートされるような優秀な彼との恋は、お互いの複雑な過去をも浄化するような、正に運命的なものだったが、”ミセス・エヴァンス”と呼ばれるよりも”化学者エリザベス・ゾット”でありたいと願った彼女は、結婚を選ばなかった。その後アクシデントが重なり、シングルマザーとなったエリザベス。化学者として生きていきたいという強い希望はありつつも、生活のために日銭を稼ぐ必要があり、ひょんなことがきっかけで、Supper Sixという料理番組のホストを務めることになる。あくまでも化学者として番組を進行するエリザベス。他の料理番組と一線を画した化学的な調理解説、男性に媚びない姿勢、女性の活躍・夢を推す内容に、番組は一躍人気となるが…
自分なりにあらすじを書いてみましたが、この小説の魅力を表現するのは難しい!男女平等や宗教、未婚の母といったテーマを扱いつつも、巧みな描写に笑ってしまい、どんどんページをめくってしまいます。
STEM教育(science, technology, engineering and mathematics” すなわち科学・技術・工学・数学の教育分野の総称)の分野では今現在も、男女平等ではないと言われていますが、今より50年以上前の1960年代なら、差別はこの小説の中のようにあからさまだったのだろうなと思います。男女平等度の低い日本社会にいる女性の目線で読むと、この小説の中で描かれている男女不平等は日本では現在進行形だなと感じる部分もあり、考えさせられるとともに、自分を貫くエリザベスの姿にすがすがしさを感じました。
読みながら、まるでアメリカドラマを見ているようだと思っていたら、Apple TVでドラマ化決定しているそうです。(詳細は以下リンク。英語です)
余談ですが、ハードカバー版のカバー外したところが元素表になっててとってもかわいいんですよ♪
こういう装丁へのこだわりも洋書の楽しみの1つですね。
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