
Shelby Van Pelt
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洋書好きの皆さんの間で話題の”タコ”との友情物語「Remarkably Bright Creatures/Shelby Van Pelt」を読みました。ハードカバー版のカバーに惹かれて少し前に購入したのですが、てっきりタコと水族館で働く老女が友情を育む話だと勝手に思っていた私は、読み始めてしばらくして、想像していたようなファンタジー要素強めの話でないことに気が付きました。
<あらすじ>
トーヴァ・サリバンは70歳。30年前に18歳の息子エリックを亡くし、数年前に夫も亡くした後、一人で暮らしながら、夜勤でソーウェル・ベイ水族館の清掃員を務め、その孤独な日々を支えている。水族館には巨大なミズダコ「マーセラス」がいる。マーセラスは人間の言葉を理解し、夜になると水槽から脱走して館内をうろつくという知的なタコだ。ある日トーヴァは、マーセラスが水槽を抜け出した先で電気コードに絡まって弱っているところを見つけ助ける。それ以降マーセラスとトーヴァには不思議な友情が生まれる。
そんな中、殆ど交流のなかった弟が、遠く離れた介護施設で亡くなったという知らせを受けるトーヴァ。遺品を引き取るために訪れた施設で、身寄りのない自分のこれからの行く末を考える。『誰にも迷惑を掛けたくない』そう強く思うあまり、すべての財産を売り介護施設への入居を真剣に考え始めるトーヴァ。時を同じくして仕事中の不注意で足を負傷したトーヴァに代わり、突然街にやってきた若者キャメロンが、夜間清掃の仕事をするようになる。怪我を直すことに専念して、と雇い主から言われたものの、マーセラスの様子と自分が自分が不在の間の水族館の様子が気になりこっそり水族館に忍び込むトーヴァ。そしてマーセラスは一緒に掃除をしはじめたキャメロンとトーヴァの姿を見て、あることに気が付く…
ミズダコと老女との友情物語と聞いて、どうにかして二人がコミュニケーションをとって奇跡を起こす系の話を想像していた私は、いい意味で裏切られました。完全に大人向け、それも40代以上の方にじんわり響くストーリーだと思います。すべての謎は解決しないまでも(そういう所がリアリティを感じる)、最後の展開には納得させられるし、マーセラスの行く末も良かったなと。読んでよかったなと思いました。
ジェットコースターのような物語を期待する方は、途中で挫折するかもしれないので注意。
なおこちらの映画、Netflixが 映画化することが正式発表されており、制作が進んでいるそうです。マーセラスのシーンとかどうやって撮影するんだろう?
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