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東大祝辞で注目を集めた東京大学名誉教授であり、女性学・ジェンダー研究のパイオニア、上野千鶴子さんの新刊「こんな世の中に誰がした?~ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために」を読みました。
私自身、ものすごくフェミニズムについて詳しいわけでもないし、傾倒しているわけでもない、東大祝辞で上野さんの存在を知ったレベルです。一昔前、日曜日にやってた討論番組での田嶋陽子さん=フェミニズムという印象があって、フェミニズム=男性に噛みつく人?というような印象を持っていました。上野さんによるとフェミニズムとは、弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想で、女性が男性のようにふるまうことではないのだそう。
フェミニズムは文化、歴史、政治と切っても切り離せません。男女雇用機会均等法が成立した経緯や、弱者が弱者のまま尊重されない「自己責任論」が席巻する現代社会が、どのようにして生まれたかについて、理解を深めるのに良い一冊になっています。
著者の主張を全部鵜呑みにするというよりは、少し自分で調べてみる部分は必要だなと感じるところもありましたが、私のように何の知識もない人が初めて手に取ってみる本として、分かりやすく面白く読み進められると感じました。
実はこの本を手に取ったきっかけは、フェミニズム云々というよりも副題の「ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために」が突き刺さったから。妊娠出産を経てから、女性として生きる、母として生きるにはこんなにも人に頭を下げて、息を殺していかねばならないのかと、衝撃を受けました。自分の娘には同じ思いをしてほしくない、より生きやすい社会を残してあげたい、そのために何ができるのか。考える日々です。
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