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If You Were Here /Peterson Alice

洋書レビュー
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おすすめ度4.0

10月に読み終わっていたものの、感想を投稿するのをすっかり忘れていました。どこかのセールで買って、積んでいたAlice PetersonのIf You Were Here。遺伝疾患をめぐる家族の葛藤についてのお話で、Good Readsでも★4.23(2025/12/13時点)となっている一冊です。

<あらすじ>
主人公の ペギーは娘 ベスの死を受け止め、幼い孫 フロ の世話をしながら生活を立て直そうとしてきた。ようやく孫が成人し、一人、娘の遺した私物を整理する中で、ベスがかつて深刻な遺伝性疾患に苦しんでいたこと、そしてその病気が娘の父親も奪った家族の秘密を知る。ペギーはこの真実をフロに伝えるべきか悩み続ける。
 数年後、フロは婚約しニューヨークへ移ることになり、自分の未来について考えはじめる。そこに、ペギーはベスをそして夫を悩ませた遺伝性疾患について孫に「知らせないこと」と「真実を伝えること」の間で揺れ動く。一家に降りかかる突然の悲劇と、それによって変わっていく絆と選択を描いた感動のヒューマン・ドラマ。

遺伝性疾患と、告知の葛藤をめぐる家族の物語…テーマは重いですが、文章は読みやすくサクサクと読み進められました。孫に、婚約者に、遺伝性疾患を受け継いでいるかもしれないということを知らせるのか、そしてその遺伝性疾患を受け継いでいるかどうか、DNAテストを受けるのかどうか…非常に重い選択が家族を待ち受けます。これはフィクションとわかっていても、もし自分だったらどうするかと考えると、読みながらため息が出そうになりました。ずっと悩んでいる描写であればきっと物語の中盤でさっさと飽きてしまったと思うのですが、次々と新しい展開が起こり、それによって登場人物の考えにも変化が起き、最後は納得の結末だったと思います。評価が高いのも頷けました。

ここからはネタバレありの感想です。

ベスの死因というのが結局、物語の終盤にふわっと書いてあったのですが、ここの開示までだいぶ引っ張られたなあと思いました。あえて引っ張ることで、読者の関心を最後までもっていきたかったんだと思うのですが、その割にはベスの死因がちょっとあっけないというか。あと、フロがマラソンに目覚めるくだりで、一瞬私は途中で読むのを辞めようかと思ってしまいました(ごめんなさい)。

日本の小説でも急に病にさいなまれる人が突然マラソンに目覚める…というパターンがあるなと思うのですが、どうにも「マラソンがすべてを解決する」ような調子があまり私は好きではなく。もしかしたら、大病や大きな挫折を経験すればわかる感覚なのかもしれません。でも持久走とか昔から苦手だった私からすると、突然のマラソンへの目覚めはどうも唐突で受け入れがたいもので、マラソンを何か精神的なものを解決する魔法の薬のように著者が扱っているんではないか?と思ってしまって、白けてしまうのです。(すみません、個人の感想です)

この本に関して言えば、マラソンがすべてを解決する…という流れにはならず、そこからまたひと展開あったので、何とか本を放り出さずに最後まで読めました。この辺りは好みの問題だと思います。物語としては最後まで興味深く読めたので★4としましたが、ドンピシャ好みかといわれるとちょっと違ったかなと思います。

この手の深刻な病系の洋書では、やはりMy siser’s keeper (by Jodi Picoult)が自分の中でのトップです。

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