これほど期待しないで読み始めて、最後にいい意味で大きく裏切られた本はなかったように思います。
We were liars は以前紀伊國屋でバーゲンの時に「あ、これ評判のいい本だ」ということで買って長らく積んでいた一冊。YA(ヤングアダルト)で、英語がそれほど難しくないこと、そこまで分厚くなかったので、”積み本”を少しでも減らすためにあまり期待せずに読み始めました。
<あらすじ>
アメリカの富豪一族の話。一家は毎年プライベートアイランドでひと夏を過ごす。主人公は17歳の少女、島で起こったとある事故で15歳のときこの島で過ごした思い出がすっかり抜け落ちている。事故後ひどい頭痛にしばしば悩まされるようになった少女は、なぜか2年間この島で過ごす夏に参加させてもらうことができなかった。そして、17歳の夏、2年ぶりに島に戻ってくる。従妹たちと過ごした幸せな夏の思い出、そして恋…。しかし15歳の時の事故のこと、その時何が起こったのかを従妹たちに尋ねても皆言葉を濁す。一体あの時何があったのか、どうして皆が事実を隠そうとするのか…
主人公が17歳ということもあって、冒頭の美しい島の描写や恋等についてはアラフォーにはイマイチ入り込めないな…と思って読み始めたのですが、最後まで読んだ後からすると、この前半のゆったりとした雰囲気は読者をうまく”この島の世界”に誘導するための”助走”だったのだなと、つくづく思います。真ん中くらいで「あ、そういうこと?」という真相に一歩近づく場面があるのですが、そこで終わりかと思ったら、最後完全にやられました。前半の幸せな描写からの転換が、落差が凄い。アラフォー、最後号泣しました。
英語は分かりやすいです。小難しい表現とかはなく、むしろ表現の美しさを感じることができました。224ページと多すぎないので、サクッと読めます。
Goodreads Choice 2014 受賞作品だそうです。賞を取るのも頷けます。ちなみに、We were lisarsの続編として、前日譚が出版されています。こういう続編物は大体”蛇足”で、評価が悪かったりするものですが、続編のFamily of liarsも前作同様評判が高いようです。これは読まないと…。
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